斎藤知事はまさか自分が辞任する事態に追い込まれることなど考えていなかったのだろうが、減額自体は褒められてしかるべき“改革”だと思うのだが。

 告発文書で見れば、斎藤知事のパワハラやおねだり疑惑はあるが、最も重大であると思われる、優勝パレードへの寄付金をキックバックしていた問題は、片山副知事(当時)に対してのものである。

 文春などが報じているように、斎藤知事からの指示があったとしても、率先して犯人探しをし、告発者を見つけだすと苛烈な聞き取りをして、彼のPCまで押収。その人間のプライバシーに関する情報を漏らしたのは片山副知事だったのではないのか。

 これは私の推測だが、片山副知事は、斎藤知事に報告するにあたって、告発者の内容には真実相当性がなく、単なる怪文書まがいのものだといったのではなかったか。

 側近の4人組に頼り切り、“裸の王様”になっていた斎藤知事は、それを疑うことなく受け入れ、会見で「うそ八百」といってしまったのではないのだろうか。

 9月14日に放送されたTBSの『報道特集』は、この問題に切り込んでいる。TBSNEWSDIG(9月14日〈土〉21:31)から見てみよう。

 片山副知事が担当していたパレードの寄付金集めは難航していた。だがパレードの1週間前、当初、約1億円の方針だった補助金が、片山氏の指示で急に4億円程度に増額されたというのである。

『報道特集』取材班は、寄付をしていて、かつ補助金を受ける予定の13の金融機関へ質問状を送り、8社から回答を受けたという。そのうち県から直接依頼されたケースは3社あったが、8社すべてが寄付金と補助金の関係性を否定したそうである。

だが、ある信用金庫の関係者から、こんな証言を得たという。

「副知事から『寄付金が足りてないのだが、赤字を出す訳にはいかない。寄付できないか? 補助金はしっかり出しますんで』と言われたそうだ。そう言われたら数百万の寄付は断れない。キックバックというより、補助金で釣られた」