「自分の貯金額が多いのか少ないのかわからない」「いくらあれば安心なのかわからない」という方は多いのではないでしょうか。そこで今回は、40代の方にとって「ここまではなんとか貯めておきたい」という最低限の貯金額はいくらなのか、解説します。

40代の貯金事情

自分が貯めている方なのかそうでないのか、まずは世間の40代の貯金事情について見てみましょう。国の家計調査(2人以上世帯・2020年4~6月期)の結果を見ると、40歳~49歳の平均貯蓄額(預貯金、生命保険、株式など有価証券等の合計)は1,101万円でした。

金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」ではさらに細かい貯金事情がわかります。40代の方に、日常で利用する生活費以外の「運用の為または将来に備えて蓄えている金額(預貯金、生命保険、株式など有価証券等の合計)」を尋ねた結果が以下のとおりです。

(出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(2019年)」金融資産保有額)

「中央値」はデータを数値順に並べたときにちょうど真ん中に来る人の数値で、極端に高い数値や低い数値に影響されないため、平均値よりも実際の体感に近いとされています。

グラフから、同じ「40代」というカテゴリーでも「2人以上の世帯」と「単身世帯」とではかなり様子が違うことがわかります。単身世帯では金融資産100万円以下という方が半数以上を占め、中央値も50万円であるなど、2人以上世帯に比べかなり少ない傾向が見られます。

「最低限ここまで貯めておかないと危ない」貯金額はいくら?

最低限貯めておかないとまずい金額は世帯ごとにさまざまです。同じ40代でも、たとえば高校生と中学生の2人の子どもを育てている人と独身で実家暮らしの人とでは、日々の生活にかかるお金がまったく違うでしょう。自分の場合はいくらなのか、以下の計算式に当てはめて具体的に計算してみましょう。

  • 基本の計算式「最低限貯金しておきたい額 = 今後かかるお金 - 今後もらえるお金」

独身の会社員の例

今後かかるお金:老後資金
60歳~90歳まで30年間老後があるとして、その間月平均20万円で暮らしていくとすると7,200万円。

今後もらえるお金:退職金+年金
定年退職で2,000万円、厚生年金月額15万円×25年(65歳~90歳)とすると合計6,500万円。

この場合、差額の700万円を60歳までに貯金できればなんとかなりそうです。今45歳の人が15年で700万円用意するには、毎月4万円弱の貯金が必要です。

今すでに貯金がある人やコツコツと運用に取り組む人はこれより少なくても達成できるでしょう。貯金だけで足りない分は、定年後も働く、年金の受け取り開始時期を遅らせる、老後の生活コストを下げて支出を抑えるなどの選択肢が考えられます。

自営業など厚生年金がない方や退職金が無い方は、これよりも厳しい試算になります。将来自分がもらえる金額がわからない方は、この機会に調べてみましょう。

夫婦+子ども(中学生)1人の場合の例

今後かかるお金:老後資金+教育費(おもに大学の学費)+住宅費(ローン残債)

老後資金は、60歳~90歳まで30年間老後があるとして、その間月平均30万円で暮らしていくとすると1億800万円。通常、退職後や子どもの独立後はそれまでより出費が抑えられます。子どもが文系私立大学に進学したと想定して4年間の教育費は700万円、住宅ローン残債1,000万円とすると合計は1億2,500万円。

今後もらえるお金:退職金+年金

夫が会社員、妻が扶養内のパートと想定します。夫の退職金2,000万円、年金が2人合わせて月23万円×25年(65歳~90歳)で合計8,900万円。

この例では、かかるお金ともらえるお金の差額は3,600万円です。60歳までにこの金額を貯める、もしくは生活費を月25万円で抑えるように工夫する(-1,800万円)、夫婦で月10万円分、60~70歳まで働く(+1,200万円)といった方法もありますね。

自分の理想の将来から、最低貯金額を計算しよう

自分はどんな暮らしをしたいのか、それによってかかる費用が違いますので、最低限用意しておくべき貯金額も変わります。

特に、人生の3大支出と言われる「老後・住宅・教育」について自分や家族にとって理想の状態、それを叶えるために必要な費用、現在の達成度を正確に認識しておくと、家計上の大きな失敗を避けやすくなりますよ。

周りに流されすぎて不安になるのではなく、自分や家族が大切にしたいものを軸に冷静に計算してみてください。具体的な数字を見ることで、漠然とした不安の払拭に繋がるでしょう。

 
文・馬場愛梨(ばばえりFP事務所代表)
自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、お金について猛勉強!銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。AFP資格保有。

【こちらの記事もおすすめ】
60代の平均貯蓄額はいくら?今からでも遅くない老後資金を増やす方法
老後のための貯蓄…50代はいくらが平均?これから貯める方法
40代夫婦の平均生活費&貯蓄額はいくら?支出を見直そう
30代独身の平均貯金額は317万円!年収別の貯金額は?
年収700万円でも貯金がなかなかできない理由