◆「ノー」と言わずに断る、日本式の伝え方を学んだ結果

ウクライナ国旗
写真はイメージです
 もちろん、ギャラが出なければ仕事をしない、ということではありません。とくに恵まれない子どもたちを支援するようなイベントなどは、ノーギャラで演奏をすることもあります。私の音楽が誰かを救うためなら、これからも喜んでご奉仕したいです。

 ただ、それ以外の演奏に関する仕事に関しては、プロのバンドゥーラ奏者として、これまでたくさんの時間とお金をかけて、プロとして学び、腕を磨いてきました。それに対してはきちんと対価をいただきたいと思っています。

 これらの経験から、今ではきちんとリストを作って、仕事の条件や内容、スケジュール、ギャラを決めて仕事先の担当者と交渉するようにしています。

 もちろん、相手にも条件や制作費の予算があるので、話し合って折り合いがつくところはお互いに歩み寄るようにしています。

ウクライナの民族楽器「バンドゥーラ」奏者・歌手のカテリーナさん 
(画像:徳間書店提供)
 なるべく「ノー」とは言いたくないので、相手に合わせるようにしていますが、それでも話し合いが進まないときは、「ちょっとスケジュールをもう1回確認させてください」と伝えて、お断りするようにしています。

 この言葉は、「ノー」と言わずに断る、日本式の伝え方を私なりに学んだ結果です。

「郷に入れば郷に従え」と言いますが、ウクライナ人の私が日本で仕事をスムーズに行うためには、日本式の交渉術を身につける必要があります。

 日本で仕事をしていく上では、大事なことだと思っています。

【カテリーナ(Kateryna)】

ウクライナの歌姫・バンドゥーラ奏者。

1986年、ウクライナ・プリピャチ生まれ。生後30日でチェルノブイリ原発事故により被災。6歳の時にチェルノブイリ原発事故で被災した子供たちで構成された音楽団に入団、故郷の民族楽器であるバンドゥーラに触れ、演奏法・歌唱法の手ほどきを受ける。海外公演に多数参加、10歳のときに日本公演のため初来日。

16歳から音楽専門学校で学んだ後、19歳の時に音楽活動の拠点を日本に移すため再来日。日本で活動する数少ないバンドゥ―ラ奏者の一人として、また、ウクライナ民謡・日本歌曲・クラシック・ポップスのヴォーカリストとして、CDのリリース、国内ツアーやライブハウスでのパフォーマンスなど、精力的な活動を行っている。現在は、全国各地でチャリティーイベントを中心にライブ活動を展開している。

<構成/女子SPA!編集部>

【女子SPA!編集部】

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