◆「日本は最初にお金の話をするのははしたない、と思う文化がある」?!

 とくに困ったのが、仕事上のお金の交渉です。私は日本での音楽活動を一人で始めたので、「仕事の条件やスケジュール、ギャランティ、支払い日」などはどのタイミングで確認すればいいのか、よくわかりませんでした。

 日本人の知人からは、「日本は最初にお金の話をするのははしたない、と思う文化がある」と聞いていました。

 でも、私にはマネージャーがいるわけではないので、お金のことを含めてすべて一人で管理しなければなりません。

 活動し始めの頃は、ギャラの話を最初にできなかったために、「このくらいの金額でやります」と伝えると、相手のプロモーターさんから、「え? そんなに高いの?」「じゃ、このくらいでいかがですか?」と、最初に提示した金額からどんどん下げられてしまうことがたびたびありました。

カテリーナさん
(画像:徳間書店提供)
 また、最初にギャラのことをきちんと確認せずに、ライブが終わった後で、ギャラの話をすると、「主催者からギャラの話は聞いてないけど。今回はボランティアじゃないの?」と言われて、結局、無料でライブ出演したこともありました。

 また、「チャリティでやってほしい」と言われて、それは「ノーギャラでやって」という意味だとあとから知った、ということも……。

 そのことを夫に相談したら、「そのやり方は良くないね。自分の価値を下げてはいけない」と教えてもらい、自分のギャラの相場をきちんと決めて、最初から交渉するようになりました。

 もちろん、最初のうちは日本語のニュアンスが理解できずに何度も失敗しながら、交渉術を覚えていきました。