◆この感情も無駄じゃなかった、と思ってほしい

――『いつかティファニーで朝食を』『吉祥寺だけが住みたい街ですか?』なども含め、マキ先生の描かれるキャラクターはとても親近感がありますよね。キャラクターをつくるときに気をつけていることがあれば教えてください。

マキ:『いつかティファニーで朝食を』のときは、明確なモデルがいました。今回の『おひとりさまホテル』では、原案のまろさんを若葉ちゃんというキャラクターのモデルにしているんですが、それ以外のキャラクターは、より多様性を出したいなと。

外国人の女の子、ゲイの男の子など、いろいろな立場の人たちがいろいろな種類のホテルに泊まっていく様を描きたい、と思ったんです。

――『おひとりさまホテル』2巻は、とくに社会的なテーマが盛り込まれているように感じました。漫画を描かれるにあたって、実際にあった話や、友人からのリアルな体験談を盛り込むことも多いそうですが?

マキ:多いですね。友人から、最近あったイヤなことについて聞いているうちに「この子がこんなに頑張ってるのに報われないなんておかしい、ただの一日のように過ぎて終わっていくのはイヤだ」って正義感みたいなものが生まれて。「こういう悲しい感情があったんだよって、誰かに知ってほしい」……そんな気持ちで描いている部分もあります。その子がこの話を読んで、「この感情も無駄じゃなかったんだ」って思ってくれたらいいな、って。