妹がトイレに連れ込まれる! でもパニックで助けを呼べない!
「このままでは、妹がトイレに連れ込まれちゃう!」
密室に大の大人に連れ込まれるのがなぜ怖いのか、どんなことをされる可能性があるのかは、当時の田淵さんはあまり理解していなかったようですが……
「なにが危険なのか、正直いまいちよく分かっていなかったと思います。でも、それはなんとなく怖いことで、絶対にさせちゃだめだ! と、直感で感じたんだと思います。 なんとか止めなきゃ! と思って、やっと絞り出せたのは、『妹はおしっこじゃない!』『おしっこじゃないもん!』という叫び声でした。とにかく、ひたすら叫んでいた気がします。そのうち近くにいた女性や、女子高生たちのグループが『なにがあったの?』『大丈夫?』と近寄ってきてくれて。一人の女性が男に声をかけた途端、妹を乱暴に席におろして、別の車両にそそくさと逃げていったんです。追いかけることもできずに、ただずっと怖かった……」
声を上げられない幼い子どもを標的にするとは、あまりに卑劣。
「わりと人がいる電車内でも、壁一枚を挟めばもはや“密室”になるんですよね。もし誰も気が付いてくれなかったら、妹は取り返しのつかないことになっていたかもしれません。それ以来、今も電車移動は苦手です」
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