2022年11月に開業した星野リゾートの温泉旅館【界 出雲】では、八百万(やおよろず)の神様たちが集まる出雲大社など、神話にまつわる日本の文化を体験できます。出雲松島とも呼ばれる美しい海と、純白の灯台を望む2タイプの客室を用意。神々のつどう国で、神話の世界に触れられます。

出雲の海を望む温泉旅館

その土地の歴史や文化に触れられる星野リゾートの温泉旅館「界」。日御碕(ひのみさき)のほぼ先端にある【界 出雲】は、大山隠岐国立公園にあって、日本海に面した景勝地に建つ宿です。日御碕神社や出雲日御碕灯台なども近くです。

▲観光にも便利な立地です

出雲大社へは車で約20分ほど。宿のすぐ横には出雲日御碕灯台が立つほか、徒歩5分ほどの場所には日本の夜を守る日御碕神社が置かれます。

▲スタッフの制服には、襟と袖に地域の図柄があしらわれます

日本神話では、出雲に降り立ったスサノオが詠んだ「八雲立つ 出雲八重垣 妻ごみに 八重垣作る その八重垣を」が日本初の和歌と言われます。ヤマタノオロチから救出したクシナダヒメを妻に向かえ、立派な家を建てる、と願うようにも読め、出雲を象徴する図柄として「八雲」が描かれています。

▲エントランスの壁には古来の技術が宿ります

真っ青な壁は、出雲の海とそこに沈む夕日がモチーフ。古来から良質な砂鉄の産地として知られる島根県東部では、日本刀の原材料となる「玉鋼(たまはがね)」が伝統技法によって精製され、その過程で出る不純物「ノロ」を円形に飾り、壁に陰と陽を表現しています。この中に1つだけ玉鋼が隠れているので、ぜひ探してみてください。

▲「ご当地楽広場」

大浴場に向かう途中にある広々としたロビーラウンジ「ご当地楽広場」は、出雲の海を眺めながらゆったり過ごせるフリースペース。温泉の効果的な入浴方法を教えてくれる「温泉いろは」や地域の伝統芸能「石見神楽」を披露する「ご当地楽」の会場にも使われます。どちらも無料なので、ぜひ参加してみましょう。

▲ご当地楽広場のベンチにも島根の伝統が息づきます

ベンチには、島根県をはじめ山陰地方でよく目にする赤褐色の石州瓦(せきしゅうがわら)が使われ、反った形は波を表します。伝統工芸品などでしばしば耳にする石州とは、古墳時代から続く島根県の西半分を占める石見国(いわみのくに)の別名です。

全ての部屋から海が見えます

界 出雲では、全客室39室すべてがその土地の個性を活かした「ご当地部屋」です。西向きの部屋は出雲日御碕灯台ビュー、東側は “出雲松島” とも称されるリアス式の海側ビュー。どちらの客室も海が見られるテラスつきで、それぞれ異なる海の情景を楽しめます。

▲灯台ビューのご当地部屋「彩海の間」

日本海に面した西向きの客室ではきれいな夕日が見られます。こちら側のリビングカラーは夕日の補色の藍色を採用。陽の光が壁になじむことなくきれいに見えるシックな藍色が選ばれています。

▲ご当地作家のアート作品を飾ります

ヘッドボードの作品は、左右異なる作家が日本海の水平線をイメージ。左が8世紀初頭から続く石州和紙、右は江戸時代からはじまった筒描(つつがき)藍染で、部屋ごとに作品も異なります。

▲クッションを彩る土地の色

黄色のクッションカバーは草木染め。青は藍染で海のキラめきを表現します。

▲パウダールームとシャワーブース

大浴場があるため、一部の客室を除きほとんどの客室にはバスタブのないシャワーブースを備えます。

▲灯台ビューの客室からは夕日がきれいに見えました

▲海側(出雲松島ビュー)の客室

海側客室からは、天気のいい日は朝日が見られます。壁は朝日をモチーフに、ベンガラ色に染めた和紙を使用。季節や天候、時間によって色見が変わるので、時と共に移ろう壁色を楽しめるのもポイントです。

▲海側客室からの眺め

東向きの客室からは、宮城県沿岸の景勝地「松島」に似ていることから “出雲松島” と呼ばれる眺望を楽しめます。