オスマン帝国時代には多くのユダヤ人やギリシア人が暮したバラットには、二階が出窓になっている古い家々の街並みや歴史ある建物が残されています。最近は写真映えスポットとして人気を集めるバラットの、おすすめフォトスポットをご紹介します。
バラットとは?
バラットはイスタンブール旧市街、金角湾沿いに位置するエリアです。オスマン帝国時代、バラットにはユダヤ人やギリシア人が住んでいました。時が流れると、彼らはイスタンブールの別の地域に移住して次第にトルコ人が住むようになりましたが、町の整備は自治体から後回しにされ、一時は荒廃した地域のようになっていました。しかしそのノスタルジックな町並みが近年人々の目を引くようになり、バラットは徐々に活気を取り戻し、今では古い家屋をリノベーションしたカフェやレストラン、アンティークショップなどが軒を連ねています。SNSの普及により、いわゆる写真映えスポットとしても注目を集めるようになりました。
おすすめスポット1:聖ステファン教会
19世紀、オスマン帝国内に住んでいたブルガリア人たちによって建設されたブルガリア正教会です。当時のスルタン、アブデュルアジズは建設を認めたものの、3ヵ月以内に建てるように命じました。完成を急がなければならないブルガリア人は、材料をウィーンに依頼し、ドナウ川やボスポラス海峡を経由して運ばれてきた材料を用いてプレハブ工法で建設しました。二階部分の美しい色ガラスは、太陽が差し込むと教会を色とりどりに映し出します。
おすすめスポット2:血の教会
バラットの丘の上に位置する、一辺変わった形と真っ赤な色が特徴的な建物は血の教会です。1453年、オスマン帝国軍がコンスタンティノープルを攻め落とそうとしたときに、住民たちがこの教会の前で必死に抵抗して血を流したことからこのような名前が付けられました。ビザンツ帝国時代は女子修道院でしたが、十字軍に破壊され、その後は教会と修道院として再建されました。オスマン帝国時代、コンスタンティノープルの教会や修道院はモスクに転用されることが多かったですが、血の教会は一度も転用されることなくその場にとどまり続けています。
おすすめスポット3:メルディヴェンリ・ヨクシュ
バラットでは角を曲がるたびに少しずつ雰囲気の異なる町並みに出会えます。どの通りもフォトジェニックなのですが、とりわけメルディヴェンリ・ヨクシュはここ数年写真映えスポットとして人気です。急坂の斜面にはかわいらしいパステルカラーの家々が建ち並んでいます。二階部分は出窓(張り出し窓)構造になっており、これはトルコ語でヂュンバ(cumba)といいます。ヂュンバは、オスマン帝国時代に外に出ることができなかった女性たちが、人の目に触れることなく外の空気を楽しむために設計されたものです。このような歴史ある家並みが残されている場所はイスタンブールには数多くないので、とても貴重な景観だと言えるでしょう。