建築事務所はモデルハウス
カール氏のデザインスタイルを体験したい方には、カフェで飲食する以外にも、より生活スタイルを想像できる空間があります。カフェの2階部分は建築事務所兼居間となっていて、キッチンやシャワールームなどがあり、その一部を公開しています。日本で言うモデルハウスですね。
旅館だったころは、釘を使わずに建てられていましたが、リフォーム時に現在の建築基準法に合わせて、ボルトや外壁からの筋交いで補強されています。漆喰にべんがら粉を混ぜた桃色の壁に、太くて存在感のある梁や大黒柱、40年以上前に骨董店で購入したという多門天像が置かれていたかと思うと、床にはイタリア製のタイルが敷かれていたり、ドイツ製の薪ストーブがどんと鎮座していたりするのです。様々な国の様々な資材や置物、設備が使われていながら、見事なまでに統一された、おしゃれな空間になっていることに感動してしまいます。
再生古民家が点在する竹所(たけどころ)集落
まったりとカフェタイムを楽しみ、事務所見学などで再生古民家に興味を持たれた方にお勧めの場所がもう一つあります。それは、カフェから車で約20分の場所にある竹所集落。山間の小さな小さな集落に10棟を超える再生古民家が点在しています。壁面に骨格となる木材が露出したカラフルな建物が自然豊かな中に点在する風景は、ヨーロッパの田舎町や絵本の世界を思わせます。
竹所の田舎の雰囲気に魅了され、江戸時代に建てられた廃屋を購入、2年の月日をかけて再生したカール氏の自宅もあります。その後、次々に古民家が再生され移住者も増え、村の平均年齢が70歳くらいだったものが、今では40歳くらいになっているそうです。人口がV字回復したことから「奇跡の村」と呼ばれ、2017年には、「ふるさとづくり大賞 内閣総理大臣賞」も受賞しています。2021年には、NHKでドキュメンタリー番組も放映されました。
不定期営業のカフェも一軒ありますが、竹所は一般の方が住む小さな集落です。敷地内に入ることや、個人宅を訪問することはマナー違反となりますのでご注意ください。
さいごに
ドイツ人建築デザイナー、カール・ベンクス氏が新潟竹所に移り住んで30年。古民家の魅力や価値、それが醸し出す居心地の良さに着目し、それを通して地域の活性化に取り組む姿勢に、心を打たれました。松代地区は、「大地の芸術祭」の開催地区でもあります。ランチスポットや見学スポットとして、加えてみてはいかがでしょうか?駐車場は、店前の他付近には4カ所の駐車場が、あります。