もう一つは、アメリカの場合、差別や排除が生命の危機に直結しているんです(カリフォルニアではこの数年、アジア系ヘイトクライムが急激に増加)。そうなると『自分の手でなんとかしないといけない』『社会を変えていかないといけない』と考えるようになるのは自然なことです。今を生きるのに必死で、そうなっている。

 日米でそういう背景の差はありますが、しかしどちらも『よりよい社会を作るためには弱者の権利が守らなければならない』という状況に直面しているのは同じです。今は自分の持っている考えから動こうとしない人が大多数ですよね。いろんな考えに触れることで、考えに変化が起こるという『流動性』がそれぞれにあれば、もっと違う世界が見えるんだろうな…と感じています」

取材・文/前田隆弘

【プロフィール】

竹田ダニエル
1997年生まれ。米・カリフォルニア州出身、在住。「カルチャー ×アイデンティティ×社会」をテーマに執筆しているZ世代の新星ライター。著書に、文芸誌「群像」での連載を書籍化した「世界と私のA tо Z」がある。