日本では晩婚化が進み、初婚年齢は男性31.1歳、女性は29.4歳となっています(2016年・厚生労働省調べ)。また結婚しない男女も増えています。こうした背景もあって日本では少子化が進んでいるわけですが、一方で「結婚をしなくても子どもだけは欲しい」という女性も少なくありません。そこで選択肢になるのが「養子」です。養子制度を利用して子どもを持つ方法、またそのメリットとデメリットについて行政書士である筆者が解説します。

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養子制度とは 普通と特別の2種類

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日本の養子制度には、次の2つの種類があります。

普通養子縁組……実の親とも戸籍上の関係は続く

戸籍上、親子関係にない人同士が手続きを行うことで、親子関係を結ぶものです。ただし、養子になっても、実の親との戸籍上の関係は続くことになります。この制度を「普通養子縁組」といいます。つまり、養子となる人は、実の親と養子縁組によって親となる人(「養親」といいます)の両方にとって、法定相続人になります。

特別養子縁組……実の親との戸籍上の関係は解消する

上の普通養子縁組とは違って、実の親と戸籍上の親子関係を解消し、戸籍の上では養親のみが親子関係になる制度です。多くの場合、貧困や捨て子などで子どもの養育が不可能になった場合に、養親が実の親に代わって、養育する制度です。

手続きの方法

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結婚しないで、他人の子どもを自分の養子にしたいと考える場合、その多くは上で説明した「普通養子縁組」という方法を取ることになります。ここでは普通養子縁組の手続きをご紹介します。

必要書類

「養子縁組届」に必要事項を記載します。添付書類は、養親・養子の戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)をそれぞれ1通、養子が未成年の場合、あるいは後見人が被後見人を養子とする場合は、家庭裁判所の審判書の謄本を1通、届出人の印鑑、窓口に来た人の本人確認書類(免許証、パスポートなど)です。

本籍地の市区町村へ届け出る場合は、戸籍全部事項証明書は不要です。また自分または配偶者の直系卑属を養子にする場合は、家庭裁判所の審判書の謄本は必要ではありません。

直系卑属とは、子・孫など自分より後の世代で、直通する系統の親族のことです。

届け出先

「養子縁組届」は、養子に本籍地の市区町村役場、養親の本籍地の市区町村役場、あるいは届出人が住む市区町村役場のいずれかに提出します。

養子縁組の条件とは

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養子縁組はもともと親子関係ではない人を実の親子と同等の関係にするものですから、予想以上の利害関係が生じます。中にはこの制度を悪用する人がいるかもしれません。

そこで法律では、厳格な条件を定めています。

条件1……養親が成年であること

養子は未成年の場合が多いため、その親である養親も未成年であると、養子縁組制度の意味がなくなるからです。

条件2……養子が養親より年長ではなく、また尊属でもないこと

養親の方が養子よりも年上でないと、前の項目と同じく、養子縁組制度の意味がありません。また養子が養親の尊属である場合も同様の意味で、禁止されています。尊属とは、父母や祖父母などの直系の祖先のことをいいます。

さらに以下のような場合もあります。

家庭裁判所の許可が必要な場合がある

後見人が被後見人を養子にする場合には、家庭裁判所の許可が必要です。後見人は、被後見人の代理人として、法律行為を行う立場にいるので、養子縁組を行うと、今までの関係を清算しなければならないためです。未成年者を養子にする場合も家庭裁判所の許可が必要です。

夫婦共同で縁組しなければならない場合がある

夫婦が未成年者を養子にする場合には、夫婦共同で縁組をしなければなりません。

配偶者の同意が必要な場合がある

夫婦の一方が未成年者を養子にする場合には、もう一方の配偶者の同意が必要になります。夫婦の一方が養子になる場合も同様です。

法定代理人の承諾が必要な場合がある

養子が15歳未満の場合には、その子どもの法定代理人、例えば親権者や後見人の承諾が必要です。