かつて“ヒモ”だった男を養うように結婚した、45歳の女性・ルカさん(仮名)。しかし結婚して子どもを授かり、やがて夫婦の収入が逆転すると、夫のDVが始まった。苦しみから逃れるように、ルカさんはアルコールへ依存していく……。

泣く女性と酒瓶
写真はイメージです(以下同じ)
 前回に引き続き、彼女に聞いた「地獄のような結婚生活」の詳細をお届けする。

◆「台所のスポンジが気に入らない」と暴力を振るう夫

 夫のDVは、いつも突然だった。そして理由がなかった。ただわめいて騒いで、自分以外の世界を否定することで、自分の存在意義を感じているように見えた。「ちいさい子供が地団太(じだんだ)を踏んで暴れているのと似た様子が、何百倍もひどくなった状態」に見えたそうだ。

「彼、仕事が順調になってからというもの、よく仲間と飲みに出かけるようになったんです。深夜にベッドで寝ていると、帰宅した夫から叩き起こされて殴られ蹴られる……。ふんづけられてあざだらけになったこともある。

 いつも理由は、“なんであんなスポンジを買ってきたんだ”と、台所の食器用スポンジへの不満や、“洗濯物の干し方が違う”という他愛ないことでした。しかも、どれもこれも、つきあいはじめてからずっとそうだったことを突然怒り出すから、わけがわからない……。スポンジはダイソーで数個セットのもの、洗濯したら私はよくハンガーに干していました。が、どちらもダメだと怒り狂ってDVです」