僕も参加しているのですが、合格者として自分の名前が書かれていると不思議とうれしい。決勝に進出するとわかり切っている周りの人間が「世界ピン芸人協会大賞、決勝おめでとうございます」と言ってくれます。謙遜して「ありがとうございます」と言うのですが、どれだけ謙遜しても、何もがんばっていないので、天狗になっているようなバグった気持ちになってしまいます。半年かけて決勝まで進出したことをツイッターで発表されるので、いつの間にか「優勝したいな……」と、まるでM-1グランプリに出るかのような気持ちになってしまいます。

 そして、出場するには協会に入らなければなりません。入り方は口頭で「入るよ」と言うだけ。年会費などのお金は一切かかりません。いつでも抜けることもできます。協会での活動は年1回のこの大会に出るぐらいで、出られなかったら「今年は出られない」と言えば出なくて済みます。

 そして、決勝は高円寺北区民集会所第4集会室という場所で行われます。駅から多少歩き、迷います。それも、M-1グランプリの準決勝が行われるNEW PIER HALLに向かうような気持ちにさせてくれます。会場にたどり着くと、もちろん舞台はありません。客席の椅子の方向の先頭に立ち、ピンネタを披露するのです。

 音響はCDラジカセから流れ、レトロな気持ちにしてくれます。照明も蛍光灯なので真っ暗になることはなく、暗くしてもしっかりと周りが見渡せます。