「都合がつく」という言葉は、ビジネスシーンでよく見かける表現です。しかし、どのように使用すれば正しいのか、目上の人に使用しても良いのかなど、曖昧な部分も多いのではないでしょうか。そこで「都合がつく」の正しい使い方や敬語表現について説明していきます。
「都合がつく」と「都合のつく」「都合が合う」はどちらが正しい?
「都合がつく」に似た言葉として「都合のつく」や「都合が合う」がありますが、一般的には「都合がつく」と表現されることが多いです。では、「都合のつく」や「都合が合う」という表現は間違っているのでしょうか?
「都合のつく」は、一般的に使用される表現ではありません。しかし、「の」は「が」に代わって主語を示す格助詞なので、間違いではないでしょう。「天気が良い日」も「天気の良い日」も正しいのと同じですね。
また、「都合が合う」も間違いではありません。「合う」は「調和する」「一致する」などといった意味の言葉です。そのため「お互いの都合が合う」などと予定が一致するときに使用します。そのため「いつごろ都合が合いますか?」と相手に聞くのは違和感があります。
「都合がつく」の敬語表現
「都合がつく」を目上の人に使用する場合は、どのように表現するべきなのでしょうか?自分の都合を伝える場合、相手の都合を聞く場合に分けて解説していきます。
自分の都合がつく・都合をつける場合
「都合がつく」の謙遜語はありません。また、目上の人に自分の「都合がつく」という表現を使用することは問題ありません。そのため「私の都合がつき次第ご連絡いたします」「金曜日ですと都合が良いです」などと、そのまま使用してしまって構いません。
しかし、失礼な感じがするため使用したくない、という人もいるでしょう。その場合は「〇日でしたら空いております」「金曜日で問題ありません」「○日にしていただけますと幸いです」などと言い換えると良いですね。
反対に、相手の提案を断るときに「その日は都合がつきません」と伝えるのは印象が良くありません。「あいにく予定がありまして、参加できません」「申し訳ございませんが、別の要件があるため他の日にしていただけませんか?」などと言い換えましょう。
相手の都合がつく・相手の都合をつけてもらう場合
相手の都合を聞く場合は、「ご都合がつく」と言いましょう。「都合がつく日はありますか?」よりも、「ご都合がつく日はありますか?」の方が丁寧ですよね。「お都合」のように「お」はつきませんので注意してください。
「○月○日はご都合いかがでしょうか」「○月○日はいかがでしょうか。ご都合がつきますと幸いです」などの表現ができますね。「ご都合のほどをお聞かせください」も良いでしょう。
日時がもう決まっており、相手に都合をつけて欲しいとお願いする場合は「ご都合を“つけて”いただけませんか」と言ってしまうと違和感があります。「○日○時からお時間いただけませんでしょうか」「ご調整いただけませんでしょうか」と表現するのがおすすめです。
ビジネスで使える「都合がつく」の類語は?
ビジネスシーンでメールを送る時に、同じ相手に何度も同じ文章を送るとマニュアルやテンプレートのような印象を与えてしまいます。気持ちを込めたビジネスメールを送るためにも、色々な言葉を使用したいと思っている人は多いはずです。
しかし、「都合がつく」と同じような意味の言葉はどのようなものがあるか、パッと思いつきませんよね。ビジネスで使える「都合がつく」の類語をいくつかご紹介します。
都合がいい
都合は、「つく」「つかない」の他に、「いい」「わるい」でも表現することができます。「○日でしたら都合がつきます」よりも「○日は都合が良いです」の方が、より強くその日を望んでいる意味合いになります。
「ご都合のよろしい日はありますか」と、敬語では「よろしい」に言い換えるとより丁寧になります。「ご都合がよろしければ…」などと使用しましょう。
差し支えない
「不都合ではない」「問題ない」という表現です。「○日で差し支えありません」「○時で差し支えございませんでしょうか?」といった表現で使用できます。
ビジネスシーンでもよく使用されますが、「差し支えないです」というのは少し失礼な印象を与えるかもしれません。「差し支えありません」「差し支えございません」と尊敬表現で伝えましょう。
丁度良い
「丁度良い」も「都合がつく」と同じ意味で使用できます。前後に予定があり、その日程がベストの時などに使用できますね。
しかし、少しカジュアルな表現なので、「丁度その日が良いと思っておりました。」などと丁寧な言い方にするよう気をつけましょう。「○日が丁度良いです。」と言うのはやや粗雑です。