東京オリンピック・パラリンピックまで1年を切り、日に日に関心が高まっています。
そこで気になるのがトップアスリートの食事。
一般的に、アスリートは「お肉を食べないと強くなれない」「疲れをとるにはお肉を食べないとダメ」「野菜だけでは力はでないのでは?」等のイメージが先行しています。
しかし、「あまり知られていないビーガンアスリートとその食事」や「【プチマクロ的アスリート食】いつまでもチャレンジできる体を手にいれよう!」シリーズでご紹介したように、海外ではヴィーガン食を選択するアスリートは少なくはありません。
今回は、昨年全日本選手権で優勝、2019年世界選手権代表のアイスダンス選手、小松原美里(こまつばらみさと)さんにインタビュー。
ヴィーガンになった経緯や普段の食事等について伺いました。
ヴィーガンになったきっかけを教えてください

スケート留学でイタリアに行った時、子宮筋腫関連の病気になり手術を受けました。
食事が直接の原因で病気になったとは思っていないのですが、手術後初めて食事の大切さを考えるようになりました。
自分の体に入るものが、自分の体を作ります。ちゃんと考えてきれいなものを食べないといけないと感じ、その時流行していたヴィーガン食を摂り始めました。
アイススケートは、体重管理をしなければいけないスポーツ。その視点では食事について考えていたのですが、タンパク質の重要性等、栄養学の知識がないなかヴィーガンに。
体重管理は問題なくできたものの、3か月たった時にトレーニング・練習中にフラフラしてしまい、今まで食べていた食事に戻しました。
その時、ヴィーガン食と普通食の違いを実感。あくまでも個人的な感想ですが、ヴィーガン食を摂っていた時は髪の毛のツヤ・お肌の調子が良かったと思いました。
そして、排泄も。アスリートにとって適切な排泄ができることは大切です。排泄が苦手だったのですが、ヴィーガン食の時はお腹が重くなくなっていたことに気づきました。
そして、一番印象的だったのが、リカバリーのスピード。疲れの回復が早くなっていたこと、怪我が少なくなっていたことに気が付きました。
その結果、ヴィーガン食を選択することが自分の個性の1つだと思えるようになり、ヴィーガンになることを決めました。
それからは、今までモヤモヤしていたものがなくなり、前向きに考えられるようになりました。最近は、動物愛護についても考えるようにもなりました。
普段の食事について教えてください

シーズン中とオフシーズンとで少しは異なるのですが、カレーやラーメンは好きでよく食べます。
カレーは、菜食の方から作り方を教えてもらったレシピでよく作ります。ラーメンは、マイレシピで作っています。
オフシーズンは、時間に余裕があるので手の込んだものを作ったりします。ヴィーガンパンケーキ等はよく作りますね。
シーズン中やハードな練習をする時期は、回数を増やして、お腹がすきすぎない、お腹がいっぱいになりすぎないように工夫しています。例えば、
- 朝食:オートミールにバナナとピーナッツバターをトッピングしたもの(お水で食べます)とコーヒー。
- 補食:フルーツ。
- 昼:野菜スティックにディップ。
- 補食:ナッツ。
- 夕食:カレーライスと野菜サラダ
のような食事です。
ヴィーガンで困ったことを教えてください

今、日本とカナダを行ったり来たりしていますが、カナダではヴィーガン食の選択肢が沢山あります。
しかし、日本を含めて、ヴィーガン食の選択が困難な国・地域はまだまだ多く、特に遠征に行くときは困ります。
そのようなときは、食べるものを自分で持っていくようにしています。
友達や家族と食事をするときには、「お肉・魚が食べられないのはかわいそう」「目の前でお肉食べて大丈夫?」と気を使わせてしまっています。もっと気軽にヴィーガン食が選択肢の1つと認識されると良いと思います。